第三章 君のいる島

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「そうか……大和は妻とか恋人はいるのか?」 「妻はかつていたけど、捨てられた」  トーヤが、急に俺の方を向いた。 「こ、子供はいるのか?」 「二人居たけど、妻が育てた」  過去形だ、 二十三年も行方不明になっていたので、 その間に子供は大人になってしまっていた。 「そうか……」  トーヤが、窓辺で疲れたように座り込むと、笑顔になった。 「ならば、俺と結婚できるな」  どういう意味なのであろうか。この星のルールは分からない。 「どういう意味?」 「ここは女性がすごく少ない。 だから、一生に渡っては、同じ女性とは結婚できない。 子供を造ったら別れる。 で、二人子供を造ったら、男はもう女性と結婚しなくてもいい」  すごいルールがあるものだ。 でも、すると、このトーヤにも子供がいるのか。 とても、子供がいるようには見えない。
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