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「トーヤも結婚していたの?」
「いや俺は、六番目だから。
女性と結婚できるのは、四男までだ」
兄妹というのは、同じ女性から生まれたというものらしい。
「まあ、俺は離婚されたばかりで、次の結婚は考えられないよ」
それが正直なところであった。
二十三年もの間、亜空間に居た。
そして、一週間の経過だと信じて戻った里には、
家族はもういなかった。
「……そうか」
雨が止むと、トーヤは本当に、昨日の現場に連れて行ってくれた。
それも、一時間かからずに五百キロメートルの距離を移動する。
櫓で漕いでいるだけで、どうして移動できるのか。
「響紀、俺、時速何キロで移動していたの?」
「時速六百キロあたりですね」
手漕ぎでそのスピードはないだろう。
でも、移動時の波の速さは、エンジンの比ではない。
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