第三章 君のいる島

24/28
前へ
/306ページ
次へ
「響紀、海水の処理も頼むね」 「亜空間に海ができましたよね……」  時季が合流する前に、実験船を取り込んでしまおう。  位置を移動して、もう一度、潜ろうとした時に、 トーヤの船がやってきた。 「トーヤ、俺には構わなくてもいい」 「嫌だ。もう誰も死ぬところを見たくない。 大和、帰るよ」  この規模の船が、空から落ちてきたのだから、 相当な衝撃があったのだろう。  強引に連れ帰る割には、トーヤは俺の顔色を伺う。 俺が怒っていないか、何度も確認しながら、 トーヤは干してあった海藻を気にしていた。 「この海藻を編んで、浮島にする。 浮島は乗せていかないと、沈んでゆく。 常に、海藻を干して貯めておかないといけない」  雨で波が出ると、海藻が海面に浮かぶ。 その海藻を拾い集め、浮島にしてゆく。
/306ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加