第四章 南国と楽園

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「御卜はかわいいからね、俺は振られたけどさ」  俺の言葉に、トーヤが激しく動揺していた。 「大和でも振られるのですか……」 「当たり前。振られる方が多い」  トーヤはまじまじと俺を見ていた。 「俺は食事をしなくてもいいけど、袈裟丸は食べるからね。 非常食を使って欲しい」  船に積んでいた非常食を持ってくると、 意外にも、トーヤは驚きはしなかった。 保存食も見慣れているらしい。 「……大波の後、こんなのを配られて食べていたよ。 不味い!」  どこかの国が支給したのだろうか。 「いいや、これは、そんな不味いものではない」  蓋を開けて、トーヤに食べさせると、トーヤも納得していた。
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