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僕はその日を境にベジタリアンになった。
それまで、僕はそういったものに全くと言っていいほど縁がなく、その日を機にそれが見える様になった理由も検討がつかない。
その日、1人で焼肉を食べていた僕の前にそれは突然現れた。
「あー、それそれ、俺のタン、あっ、タンって舌ね、ベロ」
のんびりとした口調でそれは話した。
「はっ!?う......化け物!?」
僕の目の前に現れたそれは直立歩行をした牛の様な姿をしていた。ゆるキャラ......と呼ぶにはあまりにも奇怪な容姿だ。
「化け物はひでーだろぅ。動物の幽霊ってのはこういう仕様なんだから......ってえ?なにあんた、俺が見えるの?」
目があったら最後、というのはこの事だろうか。僕の前に現れた牛の幽霊は僕が見える事を知ると執拗に馴れ馴れしくなった。
「いやー酷い目にあったわ!やたら甲斐甲斐しい人間に飼われてると思ったら、まさか俺が食用とは!モー想にも思わなかったわ。牛だけにってか?あっ!分かる?牛だからモー想!いやさ、オヤジギャグってーの?幽霊になって言葉覚えたらハマっちゃってさ」
「っとー、そこのイカした姉ちゃんが食ってんの俺のい、ぶ、く、ろぅ」
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