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ジャングルジムの頂上で突然春日が立ち上がり、両手を天に掲げた。俺は春日の足を支えながら慌てて注意する。春日が転落したらその軌道にいる車椅子の神道はただただ、おろおろしていたが、それさえも気にとめずに春日は叫んだ。満点の星空に声帯の限界を超える様な大声で......
「俺は......自由になりたいんだぁ!!」
「春日......」
「......」
心境を知る俺と神道はただ黙って春日を見上げる事しか出来なかっ。
『カッ』
その時、昼さえも暗く思う程に眩く空が光った。
「え?願い届いた?」
「......そんなわけないだろ!それより早く座れ!」
俺はあと味の悪さを誤魔化したくて俯いたまま、少し強めの口調で言った。
そんな時だった。
車椅子から二人を見上げていた神道が震えるような声で言った。
「いや......日野......届いた......みたいだぞ?」
「え?うえぇえええ!?......痛え!」
春日が狂ったように立ち上がるが、今度は俺も止めることが出来ず、春日はジャングルジムに埋まるように転落して頭を打った。俺はそれを気にとめる余裕もなく、空から金色に輝く何かがパラパラと降り注いでいる信じ難い光景に目を奪われていた。
「金.......金だよねこれ?金だあっはっはっはっは金だ!インゴットだぁーはっはっは!!」
狂った様に笑う春日を見ていて、神道が口を開く。
「お......俺も......俺も自由になりたい!!」
「神道!?」
『カッ』
再び空が光る。
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