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「ど、どうなった?」
「......分からない」
少し沈んだ声で神道が言う。俺は春日に起きた奇跡を仮に肯定したとしても、神道の自由は無理だろうと思っていた。だから、次にかける慰めの言葉はもう準備ができていたのだが、それを遮る様に春日が神道の手を握った。
「お、おい!!春日!!」
「あっはっはっは大丈夫だよ。神道は自由になってる」
俺の制止も聞かずに春日が神道の手を引く。
「......そうだな。俺も自由になってる!!」
「神道まで!?」
俺を置いて盛り上がる神道が足にぐっと力を入れると同時に、何かを引き抜く様に春日がそれを引っ張った。
「うわぁぁぁぁあああ!!!」
俺は思わず目を閉じた。手に負えない惨状が待つであろうまぶたを開く勇気が持てない数秒を過す。
「あっはっはっは」
閉じた瞳のまま春日の笑い声を聞いた。
「は......ははははは......夢みたいだ。夢みたいだあっはっはっは!!」
続いて神道の声、まさかという希望とそんなわけがないという恐ろしさからゆっくりと目を開いた俺は......
「は?はぁぁぁぁああ!?」
「あっはっはっは夢みたいだあっはっはっは」
空を駆ける様に走る神道を見て言葉を失った。
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