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整理のつかない頭で周囲を見渡す。大量のお菓子を抱えた少女に、空を飛ぶサラリーマン風の男性、あまりにも身の丈に合わない服を着てる女性は、もしや若返ったのだろうか。願いは俺たちだけが叶えているわけではないようだった。
「あっはっはっは日野も早く!!」
「あっはっはっは日野!!ほら!」
〔躊躇う必要ないよな?叶わなかったら、それだけの事じゃないか。ただ、酒の席の戯言じゃないか〕
そう思いながらも不安に唾を飲む。「日野!!早くしないと消えちゃうよ!」
「日野!迷う事なんかないだろ!」
二人が俺を呼ぶ。
「ええぃ!俺だって......俺だって!!自由になりたい!!」
『カカッ』
今までで一番明るく光る。あまりの眩さに俺たちは揃って目を閉じた。
......
......
「え?日野?」
「日野?」
俺、神道が目を開いた時、そこにはもう日野の姿はなかった。理由なんて俺には分かるはずがない。空を駆けて辺りを見渡すが他に姿を消した者はいない。なぜなんだろう。そんな疑問を投げかけると、日野がいたはずの場所にいつの間にかいた子犬を撫でながら春日が言った。
「分からないけど、きっと日野も自由になったんだよ」
「キャン」
春日に撫でられた犬はとても幸せそうに、鳴いた。
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