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まずは数年前に見た施設の話をしよう。これもまた、私の80年にない異質な空間ではあったが、そこでは毎食後に妙な薬を渡される事から私が思うに、あそこは何かの人体実験を試みる組織ではないかと思う。徹底した管理体制というに相応しく薬を落としたり隠せば床を這ってまで組員がそれを見つけ出し、身体が衰えた者には飲食に混入させ、口に運び、飲んだ後の口内まで調べるなどの徹底ぶりからみて、これがこの施設の最重要、もしくはかなり重要な役割を占めている事は凡そ間違いないだろう。そして早朝の心拍数や血圧など、身体状態の計測は恐らく薬の作用の調査だろう。信ぴょう性のある事にこの施設ではトイレにまで同行する組員が排尿の回数を記録している様で、出たか出ないか、便か尿かを事細かに確認、記録される。もしかすると私たちが飲まされている薬は水との反応に大きな影響があるのかもしれない。何故なら先のトイレだけでなく、水分補給などにうるさい組員がいて、さらにこの施設では多くの人を入浴させる事に異常なこだわりが見える。何度となく入浴を確認する組員や、拒否の末に浴室へ運ばれた被験者の声を耳にした事もあるほどだが、その被験者達もまたあの薬の影響なのか、どこか私の常識に計れない事が少なからずある。例えば突然に叫び出すもの、痛みを訴えるもの、更にはこんな事もあった。
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