怒りのドルチェ

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私は母とイタリアンレストランのチェーン店キャナリー〇ウによくいく。 ここはとにかくおいしい。 バイキングの前菜やデザートも。 スタッフも若くて活気があっていい。 話はそれるが、たまにバイキングのことを、 ブッフェと呼ぶお店があるが、 この「ブッフェだ! 」「いやビュッフェというのが正解だ!」  論争を忘れてはいけない。 ・・・話を戻す。 この店のおいしくさせる演出がある。 スタッフのかわいい制服や、 小粋なイタリア語の振る舞いが、より私たち親子の食欲をかきたてる。 ここが嫌いな人はいないんじゃないかな。 外観内観とも、とってもおしゃれなので、知らない人に教えるには、 情報通のおばさまなら、得意げになるのではないかしら。 さて、ここは土日ともなれば、予約客で6時ごろから混みだす。 6時をすぎると、入口付近の長椅子にずらりと客が待ち始める。 私と母は性格上、待ってまでその店に固執するのは根が貧乏くさいからイヤ。 という合意のもと、5時半くらいにはその店に入るようにしている。 気の利いた前菜、おいしいパスタやピザ料理を満喫し、 しかも、この店は特にデザートがおいしいので、 どんなに欲張って腹いっぱいでも、デザートだけは意地でも食べたいものなのだ。 が、そんなときに悲劇が起きる。 「ただいまキャンペーンで、アイスが召し上げれます。あちらのケースでどうぞ!」 と、夏限定のサーティーワンみたいなのが、 自分ですくいたい放題すくえるのだ! 見ると8種類ほどあり、どれにするか、これもいい、あれも! ぜんぶ一口ずつ取ってみようかな? などと考えてるだけで楽しくなり・・・・ そのアイスのケースは入口に一番近いところにあった。 そのとなりで、テーブルにつけず、待っているオバハン客数人が、もの欲しそうに見ていた。 その奥で、2歳ぐらいの子供を抱いた旦那さんと奥さんが、うらめしそうに私の横顔見ていた。 だから、私はその視線を感じて、その家族をちら見すらできなかった。 アイスを選ぶ余裕がなかった私は、 ただ目の前にあり、たんまりとあって取りやすそうというだけの理由で、 欲しくもなかった「抹茶のアイス」を取った。くやしい。
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