怒りの眼科 

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私の住んでいる田舎には、耳鼻科とか眼科の医療施設が少ない。 これは以前、私の右目が充血し、痛いので初めて眼科医院に行った時の話である。 その充血は、目薬レベルではおさまらず、仕方がないので、老舗のH眼科に寄った。 眼科医院というと、私はこのH眼科と、ちょっと離れたA眼科という新しい医院しか知らない。 その新しいA眼科は、一度仕事で行ったことがあって、あまりにも患者が多いので、 むしろ、しかたなくH眼科に行ったのである。 で、その眼科に来てびっくりしたことは、患者がいないこと。 1、2人しかいないので、すぐに私の診察の番が来てしまった。 さらにびっくりしたことは、若い看護婦さんが3、4人もいるのだが、 なんともつれない対応でびっくりしたことだ。 笑顔で接しろとはいわないが、視力検査でさえ、説明があまりにも事務的だ。 余計なことをいうと、変に客からクレームでもくるおそれがあるからと、 その対処かと疑うくらいだ。 私が、「どうも充血が引かないんですよねー」とか 「以前、脳の病気をしたせいかなー」とか、いっても、 そんなことアタシが知るか。 そんなことアタシに聞くな。 と、いわんばかりに会話すらできない。 以前NHKの番組で、看護婦さんは、患者のなにげない会話のなかに、 病気の原因とか、病名のヒントがわかるので、 看護婦さんはなにげに聞いてもきちんとチェックしているのですよ。 という、レポートを見たことがあるが。 ここにいたっては、 だからなんだっつーんだよ、といわんばかりだ。 朝礼で院長と看護婦がそろって、 「患者とは、会話をすると、つけあがる・・・ハイ!」 という、唱和でもしているのだろうかと思う。 とどめの一撃に、診察となり、 80歳すぎではないかという老人先生が出てきて、 問診となった。 「病名はなんでしょう・・・」と不安げに私がきけば、 「わからねぇ」と、クソヤブ老人。 「え? わからない?」 「わからねぇ」 問診終了。 A眼科の待合室には毎日あふれんばかりの患者がきている。 後ろの壁に立って並んでいるほどだ。 先生の腕もいいのだろうが、 この田舎では、H眼科がヤブだから仕方なく、A眼科という患者も多いのだろうな。
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