怒りの英会話

2/2

22人が本棚に入れています
本棚に追加
/181ページ
英会話教室に入会したときの話だ。 入会動機は、仕事で外国人モデルを使うことがあり、お近づきになれたらいいなという、 不純なものだ。 今回の怒りは、実は私ではない。 その英会話教室は「教習所感覚で空いた時間に、気軽に学べます!」 がウリだ。 少人数制、レベル分けでAからGランクまで。 同じレベル同士で学べる、だから安心! というわけだ。 自分がどのランクかは、事前に英語の口頭試験がある。 私はFランク。下から2番目の英語初心者レベル。 すでに、私はこの時点で嫌になった。 一つの教室で7、8人が学び、講師はみな外国人だ。 生徒は、学生からお年寄りと多彩。 私は参加するにあたり予習をきちんとしてのぞんだ。 それは英語を学びたいというより、バカにされないように、という保身だ。 営業は朝10時から夜10時までやっているので、夜10時になると、 そのまま、外国人女性講師を誘って、飲みにでかけたりする中年男生徒を目撃しては、 不純にもまた、いーなー、と思っていた。 ちなみにここの英会話教室は2年間で57万円だ。 しばらくして、そもそも動機が不純な私だけに、 海外に行かないのに、果たして英語なんて話せてもなー、 と不純な動機はだらしのないもので、英会話に通うのも面倒くさく変化する。 ある日、脱会したくなり、平日の午後2時ごろ、その英会話教室に入ったところ、 なんとロビーでスタッフミーティングをしていた。 平日の2時台は生徒がほとんどいないので、仕方がないにしても嫌なタイミングだ。 私はついたての影でそのミーティングをのぞいていた。 チーフの30代女性が、十数人の日本人スタッフに猛烈に怒っていた。 「なぜ毎日、英字新聞を読まないのか? 」 「なぜ、英語に接する努力をしないのか?」 「それで生徒さんにきちんと対応できるのか?」 事務カウンターは、このロビーを越えた奥にあるので、堂々と行けばいいのに、 脱会という負い目もあり、そのついたての影で固くなり、 ひとごとながら、私も日本人スタッフ同様うなだれて聞いていた。 結局私は、脱会できず、その英会話教室は3か月ほど通って、あとはサボった。 授業料はきちんと払ったが・・・むなしさが残る。
/181ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加