怒りの上海

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これは上海での怒りだ。 一人での旅行。 上海の中心街の人民広場に行ったときのこと。 とつぜん、学生らしき4人の男女が私に写真を撮ってくれという。 なんともフレンドリーで悪意のないおだやかな4人組だ。 はぁはぁ、まぁわかりましたと、4人が並んだ記念写真を撮った。 英語で彼らがいうに、北京から来た学生で、上海に遊びに来ました、という。 ・・・ことらしい。私が英語を話せるわけではない。片言だ。 さらに彼らは、 これは何かの縁です、写真を撮ってくれたお礼に一緒にお茶でも飲みませんか? ・・・というようなことをいってきた。 はぁはぁ、まぁわかりました、と私は彼らについて行った。 と、ある中国茶専門店らしいところへと連れていかれ、 お互いのことを紹介した。 そこで私は、彼らに勧められるまま中国茶と、茶器セットを購入した。 日本円でしめて8000円くらいなものか。 そのあと、彼らと中国料理の夕食を食べた。 こういう出会いってあるんだなぁと思いながら、 夜になり、私は彼らとは別れた。 で、気分のいい私は、 そのあと、マッサージはいかがですかと呼子にほいほいついて行ったら、 たのんでもいない飲みものがじゃんじゃん出てきて、 9万円請求された。 文句をいうと、待ってましたとばかり、私は国家公安の者だと証明するカードを見せて 名乗るものが出てきた。 これは払わなくてはいけませんとその男はいってきた。 私はお金がないのでホテルに取りに行きますというと、 その国家公安だと名乗るものもついてきた。 私の部屋に着くと、先ほどの学生と行った店で買ったお茶を、 その国家公安だと名乗るもの(ああ、面倒くさい)が見て「いくらだった?」というので、 「日本円で3000円」と答えた。 彼は笑い「ぼったくられたね。それ1000円もしないよ」といった。 ぼったくりの中国人からぼったくられた私が笑われた。 あとから旅行本などを見ると、 日本人旅行者の特徴は、帽子をかぶり、ウエストポーチをし、 服装は外向きの清楚な格好だが、運動靴が多い。 現地の人に狙われますから気を付けましょう、と書いてあった。 まさに、私じゃないか。
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