結婚半年後に離婚。ご祝儀と感動を返せ!

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会社の同僚A子が結婚して半年後に別れた話だ。 相手は、私が勤めている会社と取引している会社の男性担当者、B男。 私とB男は、A子を含めた男女数人でよく飲み会を開き、 その縁あって、A子とB男は6か月ほどして結婚した。 二人とも営業職でテキパキ仕事をするタイプだから、 まさにテキパキと結婚したという感じだ。 結婚式の二次会は同僚の私たちが企画し、 招待状を作ったり、会場を設定したり悪戦苦闘で対応した。 その二次会では、 A子のお兄さんが酔った勢いもあって、 加山雄三の「ぼくの妹に」を熱唱し、聴いているお客を泣かせた。 歌詞のなかにセリフがある。 「よかったな! うれしいよ! どんな事があっても くじけるなよ ぼくの妹だろ」 たぶん、深夜ひとりでなんども歌ったんだろうなと、思わせ、 歌は下手だったのだが、 妹に隠れて練習したであろうその姿を勝手に想像し、 私も、陰ながら泣いた。 B男に関しては、 その同僚が「うれしい!うれしい!」と 涙声で何を叫んでいるのか聞き取れないスピーチで 酔った勢いでわんわんと泣き出した。泣き上戸かもしれないが。 二次会は盛大に涙、涙の感動で終わった。 まさに、感動する二次会を企画した私は感無量だった。 ちょっと気になるのは、もしかしたら 泣いていなかったのは、むしろ花嫁花婿だけだったかもしれない・・・ 彼らの結婚後、私たちの飲み会は自然消滅してしまったけど、 みなA子、B男に気遣い、 新しいマンションかぁ、とか、旅行はどうすんだよとか 仕事終わったらまっすぐ帰れよー、とひやかしていた。 それから半年後・・・ 彼らはしれっと離婚し、同時になんと退職してしまった。 まさに、テキパキ離婚である。 確かにA子はちょっとクールだったけど、 B男は理屈っぽいところはあったけど・・・ ご祝儀ドロボーとはいいたかないけど、 あの苦労して企画した二次会の感動を返せー、といいたいっ! A子のお兄さんや、B男の同僚の大泣きした涙を返せーっ!
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