怒りの国営公園

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4月下旬から5月上旬まで、 ーーー長野県「国営 アルプスあずみの公園」でチューリップが楽しめる。 さすが、NHK。 これは行かねばならぬ。 それも、ゴールデンウィーク前の平日だ。 さっそく、母をつれて行くことにした。 まずは黒部ダムへ行き、帰りがけに、安曇野の 「国営 アルプスあずみの公園」へ行く段取りで車を走らせた。 その場所はすぐわかった。 ただ、誘導看板の「アルプスあずみの公園」の文字の下にある、 「大町・松川地区」ってのがよくわからない・・・ 午後3時半ごろに着いた。だだっぴろい駐車場に客らしき車がない・・・ 入口ゲート前に、チューリップが咲いて、 いかにも「待ってたよ!」と期待感をあおる。 入口前の敷地案内看板を見て、いやな予感が走った。 「国営 アルプスあずみの公園」が2か所ある。 さきほどの「大町・松川地区」とまた別の「堀金・穂高地区」。 同じ公園なのに、 その看板にはていねいに赤字でその間の距離20kmと書いてある。 「なにこの20km離れてますって・・・」 客がいないので、入口ゲートにいた係のおばさんも、 すでに空気を察して、苦笑いをしていた。 「あの、チューリップを見に来たのですが、こちらですか?」 「いえ、堀金・穂高地区にあります」 「えー! だって、ここも同じ公園なんでしょ?」 「チューリップ園はこちらではないんです」 係のおばさんの足元に、[チューリップ園は「堀金・穂高地区」です] という、ボードがある。つまり、係員の方も、 事前にクレーム対応をして、もう、うんざりって感じだ。 「移動列車など、いろいろ楽しめますよ!」 と、係員の方の懸命な入場への誘導も、 このさっぱりした客入りがすべてを物語っていた。 「これは私たちの事前の調査ミスなんだよ。さ、帰るよ」 係員さんに、ごめんなさいねと私は母をつれて車に戻った。 こんな山の遠方にやっとついて、さらに20km先は、まいる。 その昔、アニメ「宇宙戦艦ヤマト」で、イスカンダル星へ行くヤマトが、 まちがって違う別の双子星に行ってしまい、ワナにはめられたお話があったが、 そんなことを思い出した。・・・えらい、古い。
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