客の前でバイトを怒る。に怒る

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バイトを怒る。に怒る。(ばいとをおこる。にいかる。) その食堂は本店の息子が経営している新しい店だ。 本店は、有名な老舗の食堂で大賑わいだ。 その新しい食堂に息子店長とバイト一人が店にいた。 お昼、店には2人の客がいた。 私は、定食を食べていた。 各種フライやらカツにラーメンと、日本人的な食堂だ。 こんどから、お昼に行く店のリストにいれようとしていた矢先、 それは起こった。 「なんだ、その歩き方は!」店長・・・30歳前後の男性だ。 どうやらバイトの、店のなかを歩く姿勢を注意し、 店長自身が猫背になり、下唇をだし、厨房内とぼとぼと歩いて見せた。 さもバイトのマネをしてみました、さあ、これがお前だといわんばかりに。 ぐちぐちと厨房から言い放っていた。 私はカウンターにいたものだから、 カウンター越し、店長のその間抜けな歩き方をぼんやりと見ていた。 考えてみれば、お昼なのに、客2人というのも少ない。 その店長は、客の来ない腹立たしさをバイトにぶつけていたのかしら。 たまにこういう勘違いした店員はいる。 店に出入りする業者を怒鳴りあげたり。 それは、営業時間外でやればいいのに。 お客を不快にすることの意味がわかっていないようだ。 大衆食堂は、 奥様方が利用するイタリアンレストランと違って、 サラリーマンだとか、肉体労働者だとか、 つまり、昼飯を楽しみに、 それまでの時間、不快な仕事やら対応をしてきた人たちがやってくる。 クソ暑い職場で働いていた人が、 昼飯にクソ暑い飲食店に行かないように、 みな、お昼は、居心地良く、食べて、休みたいだけなのに。 「どーです! 私店長は、バイトに注意するほどのマジメな人間なのです」 勘違いは、料理がうまけりゃいいだろう、ということだろうか。 たしかに、味はいいと思う。 が、残念ながらその店は半年でつぶれてしまった。 そして、老舗の本店も1年後、つぶれてしまった。 やるきまんまんの息子が、自己流でやっちゃったのかなー。 本店までつぶれたときは、ほんとに驚いた。 どこの世界も二代目は、きびしいね。
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