怒りのピッツェリ〇

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怒りのピッツェリ〇 このピッツェリ〇という店は、10年ほど前には、 私の住む長野県では、ご当地シティマガジンの、 読者人気ランキングのトップを張っていたお店だ。 料理もさることながら、スタッフのサービス、客への気遣いが素晴らしいと べた褒めのお店だった。 が、 今や、ナポリの食〇、キャナリィロ〇、ヴォーノイタリ〇など いろいろなイタリアンレストランが増えて、 独自のスタイルが増えてきた。 ただ共通しているのは、 ドリンクは自由。ただし、自分で勝手に注いでね! ってやつだ。 そのシステムになった途端、 私が勤めていた会社の会長夫妻のご婦人が、 さっそく私に昼メシでの怒りをぶつけてきた。 私とその会長夫人とは、昼メシでピッツェリ〇でたまにばったり会う。 「もう行かないわ、あんな店!」 あのピッツェリ〇がドリンクサービスを始めたのはいいが、 なにも水までも、欲しけりゃ自分で注ぎに来い、という対応が、 そうとう腹に据えかねたようだ。 まあ、老人なら、そうかもしれない・・・ まして、あのピッツェリ〇は、以前はおいしい水を透明な瓶で差出し、 それはそれは、水でさえおいしそうなお店だったのだ。 まぁまぁ・・・、これも時代なのだ。そう、時代なのだ。 と、しばらくして、ある夜、私がそのピッツェリ〇で夕食とワインを取り、 代行車を店のスタッフにたのんだら、なんと、 メモを渡され、そこに代行車の電話番号が書いてあるから、 ご自分で電話し呼んでください、といってきた。 まるでそれは、ケータイぐらいもってるんでしょ? という対応だ。 アルコールは売ってますが、 代行車を呼ぶサービス代はいただいておりません、といわんばかりだ。 さすがに、これは私も 「もう来ないわ、こんな店!」となる。 が、家から近いので、半年後、ちゃっかり、 また夕食にワインをたのみ、代行車をスタッフに お願いしたら、打って変わって「代行車でございますね」と 素早く対応してくれた。 「私が変わり、みんなが変わった! 変わることができるのです!」 まるで映画「ロッキー4」のロッキーのセリフみたいだ。
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