イタリアレストランで怒る!

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これはちょっと高めのイタリアンレストランでの、 とある親子3人連れの、ご婦人の怒りだ。 安い店と、高い店。ここで起こる、怒りの度合いは違う。 安い店はあけすけで、 高い店は、どこか神妙で、わけありだ。 つまり、「ちょっと静かにしなさい!」という金切り声が似合うのは どちらかと考えるとよくわかる。 サイゼリ〇は、つまりこれがよく似合う。 で、その高いレストランで、いくら小声でわからせまいとしても その、怒り圧力というものは、 20m先でも感じるものだ。 まして、店員さんともあれば、 うわっ、やっちまったなー、 空いてる皿は、ほっとくかー、と見て見ぬふりをする。 高級なイタリアンの場合、 三人家族だと、子供の意見は通らない。 おとなしい旦那様が、奥様に気を遣い、奥様の好きな店へ、 あるいは、奥様の意見で店は決定するものだ。 もう、その時点で、 奥様の感情が主導権を握る。 私のいる離れた席ですら、その奥様の怒りようがわかる。 ただ、怒りの内容がわからない。 旦那様が、それを冷静になだめ、 おとなしく聞いては、よからぬ方向にいかぬよう、 慎重に対処しているのが、空気でわかる。 むしろ、こういう時にかぎって、 子供。女の子は5歳くらいだろうか、 もくもくと食べている。 高いレストランにいる子供は、夫婦間の、微妙な空気を察する。 安い店にいるバカなところの子は、大声で怒鳴らないとわからない。 さすが、高いレストランにいくだけのことはある。 はじめていく店で、その店が高く品のある店かどうかは、 子供の服を見るとよくわかる。 子供は黙っていても、その服装は、親のエゴを身にまとっている。 高い店での食事はそれはそれで静かで落ち着いていい。 が、声なき無言の怒り圧力は、 旦那様同様、店員同様、我々あかの他人の客でさえ、 奥様の怒りの行く末を見届けなければならない。 せっかくのおしゃれなポテトのサラダも、 なぜか、芋のにっころがしみたいになってしまうのは、 よどんだ怒りの空気のせいだ。
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