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地元の老舗レコード楽器店がつぶれ、
あげくの果てに、最近できたショッピングモールのア〇オには
レコード楽器店は入っていない。(CDショップというのかな?)
どうしてこうも音楽CDが売れなくなったかというと、
お年寄りが、レコード楽器店に立ち寄らなくなったのだ。
落ち着きのない派手な店内。うるさいBGM。
なによりも、
音楽知識はあっても、接客ができない若い店員のせいだと私は思う。
それは忘れもしない。怒りの「あのメロディ」事件がある。
その日、私は、車でラジオを聴いていて、いい曲にめぐりあった。
私はいい曲に出会うと、どうしてもほしくなり、メロディをなんどもつぶやき、
すぐさま、レコード店にかけこんだ。
レジカウンターにヒマそうな店員がいた。
その店員はまるで学生のような若い女性で、奇抜な髪型だ。
時代の先端をいく業種なんで、どうスか? といわんばかりの顔つきだった。
私はとりあえず、タイトルやアーティスト名はわからないので、
「たしか、こんな曲なんですが、わかりますかねぇ・・・」と、
フフフん、フフん、フフ~と、恥をしのんで、鼻歌を歌った。
店内は話が聞き取れないほど、うるさいBGMが流れていた。
「んー。もう少し聞かせてください」その店員さんは顔をしかめる。
その前に、店内のうるさいBGMはどうにかならんのか、といいたいが、
しかたなく、
フフフん、フふん、フフフんフフ~、フフフーフふん、フフフ・・・
私は店員さんの顔を見ることができず、ななめ目線で天井を見た。
「・・・んー、そうですねぇ・・・最近の曲ですか?」
「だと思うんですけど・・・」私はサビ部分になって少し力をいれて鼻歌を歌う。
BGMがうるさいので、鼻歌にも力をこめた。
店員さんが前のめりになり、ちゃんと聴こうという姿勢を見せたので、
私もつい、ノッてしまい、フフフフン、フふんと首を揺らして歌う。
すると「・・・わかりません」と店員はいい、
「うしろでお待ちのお客様、おとなりのレジでどうぞ!」といった。
ふりかえると、いつのまにか、私のうしろには何人かの客がおり、
私は鼻歌を披露し、レジカウンターを占拠しただけの単なる迷惑客になっていた。
逃げ帰ることも忘れ、ぼうぜんと立ちつくした。
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