怒りのサイドミラー鳥フン集中攻撃

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これは私が卓球の練習に、車ででかけたときの怒りである。 私は高校のときの先輩と、街なかにある遊技場でよく卓球をする。 その日は時間におわれ、 急いで家の玄関前にある自分の車に乗り込もうとした。 ところが、ドアを開けるとき、サイドミラーを見ると、鳥のフンで汚れていた。 私の車は深緑色の日産ノート。緑色なので、鳥の白いフンがよく目立つ。 けっこうな量のフンだ。 フンの上にまたフンをするので盛り上がっているのだ。 ブラシでこすってみても、フンが乾いて取れそうにない。 車の上には屋根があり、 梁があるので、そこに鳥がとまり、サイドミラーめがけているのだろうかと思った。 とりあえず、フンの汚れはほったらかして発進させた。 いつも遊技場の駐車場で、私と先輩は待ち合わせをする。 しばらくして先輩の車がやってきた。 先輩が車から降りると、私の車を見るなり腹をかかえて笑いだした。 「なにこれ、おもしれー」 運転席側のサイドミラーを見ながら、私はうんざりと、 「なぜかここだけ狙われたんですよ」とこたえた。 「ここだけって、こっちのミラーもフンだらけじゃん」 と先輩はひーひーと大きく息を吸っては、歯のすきまから笑いの息をもらした。 「こっち、って・・・」と私は助手席側のサイドミラーを見ると、 あ! なんと、こちらにも鳥のフンがべっとりと盛り上がってついていた。 あわてて車の前に立つと、両側のサイドミラーのみフンで汚れていた。 「こんなのでここまできたの?」 まだ先輩は歯をくいしばるように笑い続けていた。 「前を走っていた車がバックミラーで見たら、なんだろうと思うだろうね」 先輩は涙をながし、「よく見たら、鳥のフン・・・」 先輩は自分でぽそりつぶやいて、また肩を大きくゆらした。 「洗おうとは思ったんですけど、時間がなくて・・・」私は頭をかいた。 「じ、時間がなくて・・・ひー!」 今の先輩はなにをいっても笑いが止まらないらしい。 私は次第に冷静になり、 そのコマ送りみたいな動きで笑いまくる先輩の姿をぼんやりと見ていた。 フンをした鳥への怒りが、なぜか先輩のほうに向いていた。 image=505682846.jpg
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