怒りの注文まちがい

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これは母と和食レストランで夕食を食べに行ったときの話だ。 母は注文は私にまかせるというので、私は考えた。 母は小食で、丼もの1人前は食べきれない。 焼き魚定食はどう? ときくと、小鉢や汁物はいらないときた。 さて・・・じゃあ私はなににしようかと、メニューをパラパラめくると、 鍋焼きうどんセットというものがあった。 それは鍋焼きうどんとミニまぐろ丼がセットになっているのだ。 よしよし、では私が鍋焼きうどんをとり、 母にミニまぐろ丼をやればいい。 二人で鍋焼きうどんセット1人前というのも店に悪いから、 ミニざるうどんの単品300円があるので、それも注文した。 これで母にはミニまぐろ丼とミニざるうどんのセットが完成した。 ところが、出てきたのは、 鍋焼きうどんセット(鍋焼きうどん+ミニまぐろ丼)と ざるうどんセット(ざるうどん+天ぷら)がテーブルに置かれた。 あれ? ミニざるうどんをたのんだのに・・・ すると母は、ざるうどんはこんなにいらないから、天ぷらがいいと、 天ぷらをとってしまった。 母はなんの疑いを持たず、天ぷらを食べはじめた。 まぁ、いいか、天ぷらがついてお得だし。 まして、店員さんも気づいていないようだし。 ただ、 母がざるうどんを食べないので、私がざるうどんを食べねばならない。 鍋焼きうどんがあるのに・・・ しかたなく、私は左にざるうどん、右に鍋焼きうどんを並べ、 鍋焼きうどんをハフハフすすっては、ざるうどんの冷たい麺で舌を冷ました。 しばらくして、隣の席から、子供のこんな声がきこえた。 「ねぇねぇ、おかあさん。となりの人、鍋焼きうどんとざるうどんを食べてるよ」 「あ、ほんとだ」とクスクスと笑い声が聞こえる。 私はハシをとめた。 そうだ。うどん2杯だけでも多いのに。鍋焼きうどんとざるうどん。 熱いのと冷たいのを同時に食べる私はどれほどうどん好きに見えただろう。 そして、今さらながら、ハッと思い、機械で打ち出された伝票をみた。 そこには「鍋焼きうどんセット 1人前、ざるうどんセット 1人前」とあった。 店員が間違って打ち込んだため、料金的に私が得したわけではなかった。 今さら文句をいうのも、もう遅い・・・
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