怒りのお花見

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お花見は一大イベントである。 特に会社のお花見は新入社員もいて活気づく。 さて、これはある年の私の会社のお花見で、 幹事は私。その時の怒りである。 毎年行われるお花見は、桜のある城跡公園で、 お弁当におつまみ、ビール、酒、焼酎、これが定番であった。 花見は当然、仕事を終えた夜になるので、 気温は下がり、屋外での花見は寒くて、みな弁当など、食う気にもならない。 それがあたりまえで、それが会社のいつもの花見だと思っていた。 幹事となった私は、腹案があった。単純にあったかいものを用意すればいい。 そう考えていた。 が、そんなとき、お花見の日に雨が降った。 やったー! 中止だ中止だ!  場所取りやら、買い出しなんぞやってられるかと思った私にとってはラッキーである。 ところが、上層部の希望で会議室を使って花見をやることとなった。 会社の敷地内に咲く桜の枝を一本折り、それを会議室の天井からつるし、 社員30名ほどが、それを中心に輪になって花見をするというものだ。 幹事である私は、これまで通例の弁当はやめにした。 あたたかいもの、袋詰めのおでんを買い込み、電子レンジであたためる。 それから、アルミの鍋セット。焼くだけのアルミのモツ煮セット。 すべて、電子レンジや湯せんで済むものであたたかいものだ。 日本酒もお燗した。 すると、どうだ!  社員に大うけでみなアホのようにバカすか食い、飲むのだ。 みな瞳を輝かせて、天井の桜そっちのけで食っているのだ。 わかったか! 冷えた弁当で、冷えたビールがうまくもないのがよくわかっただろう。 せめて、それを考案した私にお礼の一つでも言ったらどうだ、と思った。 新入社員なんぞ、酔っぱらって私に対するねぎらいもない。 ところが、アホのように食うので、おつまみが足りないときた。 しかたがないので、宅配ピザをたのんだ。 するとアホどもは、おお! 花見にピザか! と感激し、またアホのように食いまくった。 足りないので、また宅配ピザを注文する。 それなのに酒に酔ったアホどもは、ピザの注文が遅いと、 こともあろうか私を非難しはじめた。 さらに花見費用は通年をはるかに超えてしまい、 その責任は私となり、翌日、上層部から怒られた。 どうして私が悪いのか! 
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