怒りの宗教勧誘

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なぜ、この宗教勧誘の話に触れたかというと、 平日の真っ昼間、久々にその手の方が家にやってきたからだ。 以前は土日の夜に来た。 それは私が仕事が休みで、 車が玄関前に置いてあるのを見計らって来たのは明白である。 が、一昨年、私は会社を退職してほとんど家にいる。 勧誘リストに私の名があげられている。 おそらく、連絡事項として、私の車で在宅かがわかると書かれているのだろう。 私は毎回勧誘をことわっているのに、 あいまいなのか、脈あり、などと書かれているのかしら。 その連絡網にも腹が立つのである。 さかのぼること数年前、 最初の勧誘は中学の同級生だった。 突然、夜、私の家にやってきた。 久しぶり、どうしているのという話から、 なぜか、人生とはなにかという話にすり替わっていたのだ。 しかも、そんな人生じゃだめだ、 こんどいい話が聴ける機会があるからいっしょに行こうなどというので、 いやいや、私はいいよ、と断った。 すると、だからいけないんだ、と同級生は熱くなり、 くどくどと説教をしはじめた。 「宗教の勧誘ならおことわりだからね」というと、 「これは宗教じゃないの! まじめに聴いてよ」と怒られた。 なんで、同級生から人生とはなにかの説教を受けねばならないのだ。 そう思うが、その昔は仲の良い同級生なので、ケンカはしたくはない。 まぁねー、そうねーと私は茶をにごした。 1時間ほど玄関先で話をして、私が頑として説得に応じないとみるや、 その同級生は怒りながら、旦那さんが待つ車に乗り込んだ。 しかもその旦那さんも顔を出し、 「人生、1たす1は2じゃないんだからね!」などといわれた。 私はわけもわからず、車を見送ってから、しだいに腹がたったのだった。 その後、高校の同級生がやってきた。 「久しぶりー。ちょっと顔を見たくてさー」といい、 「ところでさ、これからのことどう考えてるの?」などといった。 「もし宗教の勧誘なら、おことわりだよ」と私がいうと、 「これは宗教じゃないの! まじめに聴いてよ」と怒られた。 ちなみに、 さきほど昼に来たその手の人は、 私を呼び出したが、私は茶の間で隠れていた。 玄関で応対したのは母。 用件はなにかと聞き、先に母が大声をだしてキレた。 相手はそそくさと逃げかえり、私は助かったのだった。
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