忘れられない広告に腹が立つ

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腹の立つ広告と言っていも求人広告である。 A4サイズほどの大きさの、100ページあるかどうかの求人雑誌である。 広告の基本サイズは1ページを6分割したほどの大きさである。 その腹の立つ広告主はホストクラブで、最終ページにあり、 1ページ買い切りだった。 なにが腹が立つかというと、 そのホストクラブの社長の悪ふざけな目立ちたいという思いが、 その1ページ広告に集約されているのだ。 どんな見た目かというと、 1ページ全面が社員と社長の集合写真でモノクロである。 この求人広告はカラー刷りなので、 目立たせたいという視覚的なものはいいだろう。 社長は真ん中に一人椅子にすわって足を組んでいて、 そのうしろでアホづらした若い男たち約10名が立っている。 ここまでなら、私も数分で忘れているどうでもいい求人広告で、 勝手にアホづらを世間に公開していればいいと思う。 問題なのは・・・ その広告が上下さかさまなのである。 当然、キャッチコピーも求人概要も上下逆である。 パッと見、あれ? 製本の失敗だろうかと思わせる。 よくみると、広告の隅に、 「意図的にこの広告は上下を逆にしております」ということわり書きがあり、 広告担当者のうろたえぶりがうかがえそうである。 おそらく当初は正式な1ページ広告だったと思う。 ところが、この目立ちたがり悪のり社長は校正後「おや? まてよ」と、 担当者にストップをかけたのではないか。 この広告さかさにすればおもしろいんじゃねーのか? と、考えたに違いない。 広告担当者も困ったと思う。まず読者に誤解を生む。 編集長にも相談してダメだと言われたらどうしよう。 それを伝えて、この悪のり社長がごねて広告をキャンセルしたらどうしよう。 高額な広告料金であろう1ページをまるまる買切るお客はめったにいない。 なんとか、丸くおさめたいと広告担当者のハラハラした様子が目に浮かぶ。 悪のり社長の、 俺は既成概念にとらわれねーんだぜという、 一人椅子にすわって足を組んでいる姿勢にあらわれているのだ。 話変わって、たまに見かける店名さかさ看板がある。 私は美容室でそれをみた。 センスを売る商売でなんと品のなさ。 ユーモアとも受け取れない。さきほどの求人広告もふくめて、 この「安っぽさ」「バカっぽさ」に腹がたつ。
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