ラーメンの「こってり」とは何か? 

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ラーメンでいう「こってり」というのは、 私は天下一品ラーメンの専売特許の表現だと思っている。 私は信州に住んでいるが、困るのは、・・・さほど困ることではないが、 地元ラーメン屋さんで、メニューやら看板のかたすみに、 「こってりとした味わい」とか「豚骨こってりラーメン」とかあり、 ついついそのこってり感を味わいたくてそのラーメンを注文すると、 たいていが、脂ギトギトラーメンなのだ。 その都度、うわー! だまされたー! と、怒りがふつふつとわいてくる。 小指の爪ほどの背脂がどんぶりの表面を覆いつくし、 その脂の厚みが1cmほどある。 レポーターが「この脂があまくておいしいんですよ~」みたいなことをほざくが、 私の胃袋にも同じように厚み1cm・・・ いや、せまいから、3cmの脂が浮くことを想像するだけで、 吐き気がするのである。 もし、体の水分がカラッカラッのしわだらけの婆さんが食ったなら、 その婆さんは体がうるおって一瞬10歳若返るか、 拒絶反応で死ぬか、どちらかではないかと思うのだ。 信州はそば処。 どちらかというと脂に無縁な地域。 清らかな川の水で育つワサビのようなものだ。 そんな清らかな川に、あやまってガソリンをだだ漏れさせたような、 そんな脂ギトギトなものは信州人は好まないと思う。 そもそも「こってり」とはトロミ加減のことをいうのであって、 「ギトギト」とは感覚が違う。 天下一品ラーメンに脂ギトギト感はない。トロトロなのだ。 むしろ、脂ギトギトのラーメンで売り出したいのなら、 そういうものが大好きな人間にわかりやすく、 「脂ギットギトゴッテゴテラーメン」とでもやればいいのだ。 ただ残念ながら、こういう趣向のラーメンは信州では受け入れられない。 なぜかお年寄りがラーメンが好きで食べに行く。 お年寄りが受け入れられない店はつぶれるといっていい。 たまに新店舗の若い店主が、気合入れて、 こだわりのラーメンで勝負! といいながら、 しばらくして、いそいそと「中華そば」を加えたりする。 それはつまり、お年寄りという大事な客層に気づきました、ということだろう。 そういえば、天下一品ラーメンを「ドロ系」という人もいるが、 やめてほしい。「泥」を連想させる。
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