魚に国境があるのか問題

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以前スーパーで買い物を母としていたときの話である。 母は肉類がダメで、たんぱく源は魚である。 それゆえ、魚にはうるさいのだ。 母はスーパーに行くと決まって鮭を買う。 そして決まって私にこれでいいか確認する。 あるとき、 私はノルウェー産の鮭が、味がたんぱくでおいしかったのを思い出した。 国産の鮭はしょっぱいというイメージなのだ。 私が「ノルウェー産のでいいよ」といったのが事の発端である。 母「いや鮭は国産だよ」 私「鮭なんて海で泳いでいりゃみな同じでしょ?」 母「いや、国産の方がおいしいよ」 私「じゃあロシアと北海道あたりで泳いでる鮭はどうなの?」 母「・・・。 どうしてあんたはそういうことをいうの?」 私「鮭に日本鮭とかノルウエー鮭ってないじゃん」 母「その国で取れる鮭によって味が微妙にちがうんだよ」 私「わかったよ、じゃあ、その国産でいいよ」 母「いいよ、もう鮭は買わない」 と、まあ、こんな感じだ。 セリフのとおり、母も私も似た者親子でトンチンカンなのだ。 農作物で以前、アメリカからの輸入した物は消毒や農薬がすごいとかで、 特に大豆がうるさい時期があった。 お豆腐はやっぱり国産大豆だね! みたいにもてはやされた。 記憶にも新しい牛肉のBSE問題。 牛丼屋から牛肉が消えたときはあせったものだ。 こういうことがあったから、国産信仰というものがある。 母も国産信仰だから、なにかにつけ国産か、外国産かをチェックする。 が、自分が好きなエビやシシャモやウナギのほとんどが輸入なのに、 それに関しては、なにも言わない。 外食になればなおさら言わない。 母はエビフライとかうな重が好きだが、このエビは国産かなどは確認しない。 だから私も「それ、外国産だからね」なんてことは、 けっして言わない。 言ったら、また「ファイト!」がはじまってしまう。
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