怒りの紙パックコーンスープ

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怒りの紙パックコーンスープ

2020 1.5 新年になり、「怒りがこんにちは!」もスタイルを変えました。 さて、 昨年末、わたしは電子レンジを買った。7千円あたりの安いものだ。 わたしは無職。 いまは、のんきに家でこんなエッセイを書いてはいるが、 その昔は、バリバリのスーパー仕事できないOLだった。 しょっちゅう上司から怒られていたダメ社員だった。 買った電子レンジをみると、ふと、OL時代を思い出す。 会社の休憩室に置かれたものとおなじだったからだ。 すると、あのころの忌まわしい思い出もよみがえる。 これは、わたしが会社勤めをしていたころの話である。 お昼、社員はめいめい、家から弁当やら、 コンビニで買った弁当やパンなどをもって、休憩室にあつまる。 わたしはいつもスーパーでサンドウィッチかおにぎりを買い、 それにあわせて、コーヒーやお茶を買う。 ところが、ふといつも寄るスーパーで、 紙パックのコーンスープが安かったのであった。 500mlでおおきいが、そうだ、カップにそそいで、 ほかの子にもわけてやろう、そう思って買ってみた。 さっそく、電子レンジにその紙パックスープをいれる。 おっと、飲み口をあけておこう、破裂する。 ほかの女子たちも、わたしの行為にうっとりしていた。 それ、あたしにもちょうだいね! わたしも! わたしも! 「さすがヤマザキ! スープなんてしゃれているね」 そうでしょ? わたしは電子レンジのスイッチをいれた。 すると、電子レンジのなかでジジジジと、みょうな音がしはじめた。 ガラス窓をのぞくと、 なんと、おおきな静電気が飲み口にあつまっているようだった。 青いイナズマがレンジ内を走っていた。 まさに、レンジのなかが、 映画「バックトゥザフューチャー」にでてきた車、 デロリアンがカミナリの電気をくらったような状態になっていた。 レンジのなかでは、バチバチと音も大きくなった。 まわりの社員もさわぎにあつまりだしてきた。 「おい、ヤマザキ! これどうにかしろよ!」 ふしぎなことに、パックの口元が燃えているのだ! が、レンジの扉をあけていいものかわからない。 電子レンジが爆発するのではないかという不安もあった。 わたしが、電子レンジのまえでオロオロしているうちに、 チン、とゲーム終了~とばかりにそれは静まった。 おそるおそるレンジの扉をあけると、なかから煙が噴き出した。 ちろちろと紙パックの口元に火がついていた。 ひとりの女子社員がキャッと悲鳴をあげた。 休憩室はちょっとしたパニックになった。 「なにやってんだバカ! 会社を燃やす気か!」 わたしはコーンスープの紙パックを持ったまま、 みんなからひたすら怒られ、罵倒された。 さっきまでいっしょにいた女子社員も、 そそくさとその場からさってしまった。 どうやら原因は、 紙パック内の内側に貼ってあるアルミのようだった。 牛乳とはちがい、保存のためなのか内側がアルミでおおわれていた。 そのアルミに電子レンジの電子? が反応したようなのだ。 みなさん、電子レンジに紙パックは気をつけましょう。
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