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何とか王都の入り口までは落ちずについてきたシルキーユだったが、腕がだんだんと痺れてきてしまった。
「もうダメ…こんなところから落ちたら…ただじゃ済まないのに…」
あえなく小さなその身体は宙に投げ出される。
幸いにも王都に入ったこともあり、馬のスピードは落ちていたため命を落とすことはなかった。
衝撃で意識は失ってしまったが、目立った外傷を負うこともなく道の真ん中にシルキーユは倒れこむ。
「あら、何かしら」
そこにシルキーユと同じ年頃の娘が通りかかった。
美しい金髪を灰色の布で覆い、白い顔や手足は薄汚れている。
着ている服も粗末なもので、所々つぎはぎが目立つものだった。
「あら、素敵なお人形。汚れてはいるけど…貰って帰っても大丈夫かしら」
少女はその道が買い物に毎日通る道であったのもあり、持ち主が探しているのを見かければ返せばいいと拾い上げる。
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