第1章

2/3
前へ
/43ページ
次へ
「シルキーユは歴代の中でも指折りの力を持っているというのに…なぜこのように育ってしまったのか」 茶色の長髪に同じ色の髭を蓄えた、40代くらいの男性がため息をついた。 その座る椅子は座椅子部分に滑らな赤い布が張られた金の椅子。 背もたれの上部分は宝石で飾られている。 いわゆる、玉座である。 彼は大国、ノアール王国を統べる正当な王。 ノアールの王族は決まって魔法と呼ばれる力を使うことができる。 特に女性に力が強く出るのと、最初に生まれた子に強く魔法の力が遺伝することが多い。 彼の第一子である長女・シルキーユは非常に強い魔法の力を受け継いで生まれてきた。 御年17歳。 本来であれば婿を取り、この国を治める準備をする年齢だ。 出産で政治が滞らぬよう、10代の内に結婚して子どもを産み、30前で王位を継ぐのが慣例である。 シルキーユの母は前王の長女であり、現王もその従兄にあたる。 強い血の力もあり彼らの子どもたちは3人とも強大な力を宿していた。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加