第2章

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「こんなに冬が厳しいなんて知らなかったわ…」 彼女の村の周りの木や草は全て使ってしまった。 寒いからといって後先考えず薪に変換したり、農民のような格好が嫌でドレスを作ったりもした。 足りなくなって村にあった10軒くらいの小さな家も全部使ってしまった。 もうこの村にはシルキーユの家と少量の無機物しかない。 シルキーユは食べ物を確保するために少しずつ衣装や布団を変換していった。 家も一回り小さくしたし机や椅子も食べ物にした。 このままでは飢えと寒さで死んでしまうかもしれない。 シルキーユは生まれて初めて恐怖した。 誰にも知られず、誰にも看取られず、私は死んでしまうのかもしれない。 この母親譲りの美しい顔立ちも、宝石のようだといわれる空の瞳も、ここでは何も役にも立たない。
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