17人が本棚に入れています
本棚に追加
第1章~何処へ~
「ずっと待っているから…」
この言葉を聞いたのが、最後の彼の声で、この言葉を残して彼は姿を消した。
私は滝本由佳莉、26歳の都内の某商社に勤める、いたって普通のOL、私の彼は30歳の都内の某大手企業に勤める、坂元拓哉という、私と彼が知り合ったのは、彼の同僚と私の同僚が大学先輩後輩で、彼の同僚が私の同僚に。
「合コンしたいから女子を何人か集めて、俺も男子を何人か集めるから、お願いできないかな?」
と、久しぶりに連絡して来た事から、合コンが開催される事となり、私は同僚に、彼も彼の同僚に、合コンの頭数を揃えるために参加した。
私も、彼も、合コンにあまり乗り気ではないが、どっちも同僚に頭を下げられ、仕方なく参加しただけだった。
彼は歴史オタクで、イケメンではないがブサイクでもなかったが、私も歴史好きだったため、話しが合い、趣味の歴史話しで盛り上がり、LINEのIDを交換、最初はLINEでメッセのやり取りだけだったが、時々デートするようになり、そして付き合う事となった。
その私の彼、拓哉と今晩ディナーの約束をしていた、この間、一緒に行く筈であった四国は高知、私は急な出張で行けなくなって、拓哉1人で行って来た、その時の話しを聞くため、イタリアンレストランを予約していたのだ。
だが、私は急な残業を課長に言い渡され、約束の時間に行けなくなり、私は彼、拓哉のスマホへ電話をかけ、待ち合わせに遅れる事を伝え、拓哉に謝った。
すると、拓哉は怒る事もなく。
「ずっと待っているから、待っている時間もデートの内だしな。気にするなよ」
と、拓哉は言って電話を切った。
私は拓哉の優しさに救われた気分に浸った後、とにかく急いで残業を済ませて、拓哉の待つ待ち合わせ場所へと急いだのである。
最初のコメントを投稿しよう!