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「ねえ、ミホ姉、お父さん、ヤバイんですけど」
サツキが部屋に入って来て、私に小声で言った。
「ヤバイ?何が?」
すると、サツキは父のスマホの画像を私に見せてきた。
私は、その画像を見て、ギョっとした。
そこには、プリティムーンという美少女戦隊ショーの画像がたくさんアップされていたのだ。
「これさ、遊園地とかでやってるやつじゃない?子供とアキバ系の男たちが来るようなやつ」
そう言いながら、サツキは画像を見ながら顔を歪めている。
プリティムーンはテレビで見たことある。5人くらいの女の子たちが、ヒラヒラのミニスカで、太ももむき出しにして、アクションをするのだ。
「プリティプリティ、ムーンライト!ヤー!!」
この「ヤー!!」のところで、悪の化身をとび蹴りで一撃するシーンにオタクと子供は熱狂している。
父がこの美少女戦隊ショーへ行っている?マジか・・・。
私はサツキの手からスマホを取って画像をスクロールしていった。
「サツキ、見て。このピンクの衣裳の子の写真が多い」
「ホントだ。この人いくつ? お父さん、まさかロリコン? もうやだあ!」
そして1枚の写真のところで思わず手が止まった。
「お父さん、プリティームーンと一緒に写真を撮ってる!」
父とプリティームーンのピンクの衣裳の子の2ショット。父の顔が見たことないくらいにやけている。
サツキは「ゲーゲー、ありえない」と父の思いもよらない顔に嫌悪感をむき出しにし「お父さんがロリコンなんて」と、ゲーゲーを繰り返している。
私はピンクの衣裳の子をまじまじと見てみた。子供っぽい衣裳だが、化粧はバッチリしているし、おそらく年上だ。
「19か20才くらいじゃない?」
とはいえ、ロリコンじゃなくても、父親が若いアイドルに入れあげているという現実は中3と中1のうちら姉妹にとって、ちょっとしんどい。
「サツキ、なんでこれ見ちゃったの? 知らない方がよかったじゃん」
「だって、お父さんのスマホ新機種だしさ、少しさわりたかったの。お父さん、お風呂入ってるし、ちょっとくらい、いいかなって」
「わかった。早く返してきなさいよ。バレるよ」
サツキは、スマホを元あった場所に置きに行った。
お父さんとプリティムーン・・・。
なんだか体中がむずがゆくなってきた。
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