第1章

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丹頂鶴のような人でした。 あの頃、孔雀ばっかりの中であの人は。 毎日通いました。 ご祝儀はしません。 けれど身に付けるものにはこだわりました。 今日は着物。 翌日はミニスカートにハイヒール。 客席は舞台よりも私を見ました。 舞台の上からは満足気な視線が飛んできました。 鶴は結局飛んでいきました。 当時羽をおろす場所が私だけではなかったこと、 最後の羽をおろす場所が私のもとではないこと 全てわかってそれでも自己満足のファッションショーを数年続けました。 楽しかった。 小指に1本、赤いマニキュアを今も塗って 当時の煙草を一日一本だけ縁側で吸うのが私の日課です。 いい時代でした。 今も、いい時代だけどね。
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