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「不便な事は今のところありませんが、
ひとつ聞いてもいいですか?」
「なんだ?」
「俺の目の前のデスクの彼女って
足が・・・・・」
俺が言いたかったことがすぐにわかったようで
「あぁ、斎藤の足の事か?
お前にも迷惑をかけるかもしれないから話しておくが
あいつは交通事故の影響で、少し足に障害が残ってるんだ。
だから、HELPが来たとしても
現場に向かうのはあいつ以外の人間になる。
それをわかってやってくれな」
「わかりました」
聞きたかったことは聞けたから、
部長の部屋から出て自分のデスクに向かうと
今度は彼女はこちらを見てくれなかったから
視線が交じり合う事がなかった。
パソコンを起動させている間に
目の前の彼女を見て
---交通事故か・・・・・・
---痛かったろうな・・・・・・
どんな事故かも知らないけど
きっと、もの凄く痛かった事は伝わる。
---怖い思いをしたんだろうな・・・・・・
何故だか、会ったばかりの彼女が味わった
死の恐怖を想像して、遣り切れない気持ちが湧いて来てしまった。
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