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彼女の足の事が気になるのか
彼女自身が気になるのか自分ではわからないが
とにかく気になる存在となった斎藤由美を
仕事中に何度もチラ見している自分に気が付いた。
現場に赴く事が出来ない彼女は
与えられた仕事は的確に素早く終わらせる事に徹していて
絶えず呼び出されて出掛けて行く
同僚たちのやりかけの仕事も受け持ったりしているようだ。
「悪いな、斎藤」
俺よりも3つ下だと言っていた金城が
システムエラーで呼び出されて出掛けるようで
自分のやりかけの仕事を彼女に頼んでいるようだ。
「大丈夫です、金城さん。
それよりも急いだほうが。
あちらの会社は、担当の方が少し意地悪ですから」
彼女の精一杯の笑顔なのか
頬を動かす程度の笑顔を向けた彼女が金城に話す姿を見て
---笑う顔も出来るんだ・・・・・
始めて見る、彼女の笑顔とでもいうのか
はにかんだ表情に惹き付けられた。
「んじゃ行って来るな。
なんかあったら呼び出してくれ!
課長、MK商事に行って来ます」
慌ただしく出て行く金城を目で見送った後
またパソコンに視線を移して
もの凄い速さでキーボードをたたき始めた。
目まぐるしく動く指だったけど
ピアノでも弾いているような
優雅なタイピング姿に魅了されている俺だった。
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