それぞれの時計が動く時 1-1

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彼女の足の事が気になるのか 彼女自身が気になるのか自分ではわからないが とにかく気になる存在となった斎藤由美を 仕事中に何度もチラ見している自分に気が付いた。 現場に赴く事が出来ない彼女は 与えられた仕事は的確に素早く終わらせる事に徹していて 絶えず呼び出されて出掛けて行く 同僚たちのやりかけの仕事も受け持ったりしているようだ。 「悪いな、斎藤」 俺よりも3つ下だと言っていた金城が システムエラーで呼び出されて出掛けるようで 自分のやりかけの仕事を彼女に頼んでいるようだ。 「大丈夫です、金城さん。 それよりも急いだほうが。 あちらの会社は、担当の方が少し意地悪ですから」 彼女の精一杯の笑顔なのか 頬を動かす程度の笑顔を向けた彼女が金城に話す姿を見て ---笑う顔も出来るんだ・・・・・ 始めて見る、彼女の笑顔とでもいうのか はにかんだ表情に惹き付けられた。 「んじゃ行って来るな。 なんかあったら呼び出してくれ! 課長、MK商事に行って来ます」 慌ただしく出て行く金城を目で見送った後 またパソコンに視線を移して もの凄い速さでキーボードをたたき始めた。 目まぐるしく動く指だったけど ピアノでも弾いているような 優雅なタイピング姿に魅了されている俺だった。
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