それぞれの時計が動く時 1-1

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注文した料理が届いて 早速箸をつけて食べ始めた時 「そう言えば、俺の部署に足の悪い女の子がいました」 思い出したように話した俺に 「斎藤由美だろう?」 SEの彼女とは絡みのない筈の小栗さんも 彼女の事は知っているようだ。 「田中部長に、交通事故だったと教えてもらいました。 外勤が出来ないから、俺にも迷惑をかけるって 田中部長に頭を下げられちまいましたよ」 苦笑気味に話す俺に 「あいつも可哀想な子だよな・・・・・」 呟くように話す小栗さんを見つめていると 「あぁ、なんでもない。 俺からもあいつの分までお前らに迷惑をかけちゃうけど 頼むよって言わせてくれ」 持っていた箸を少し持ち上げてそう話す小栗さんに 「彼女の事を知ってるんですか?」 不審に思って聞いてみたけど 「いや、直接は知らないよ」 そう返されてしまえば、あとに続く言葉がなかった。
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