それぞれの時計が動く時 1-1

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「なぁ!いい加減機嫌直せよ・・・・・」 ため息交じりに、あたしに話しかける真治を横目に 「易々と機嫌が直る事だと思ってるの?」 訝し気に左ハンドルの運転手の顔を斜め見る。 「悪かったって!!」 どう見ても反省している姿ではない真治に 「いいから、ここで降ろしてよ! 歩いて帰るから!!」 シートベルトを外して、扉に手を当てた。 「ちょ!危ないからシートベルトしてろ! こんな天気の日に、事故でも起きたらどうすんだ!」 車を路肩に止めて あたしのシートベルトを引っ張るけど 「今日の式はキャンセルさせていただきます」 扉の取っ手に手を置いて 彼に背中を向けて冷たく言い放った。 「悪かったってば! 謝るから、式だけは挙げさせてくれ! 俺の会社の人達も呼んでるんだし・・・・・・」 二股かけられて結婚させられるあたしの気持ちよりも 見栄と外聞を取る真治に、心底愛想が尽きた。 「もうあたしには、真治と結婚する気持ちはなくなった。 キャンセル料もあたしが持つから 今日の式は取りやめる」 バッグから携帯を取り出し あたし達の式のアテンドをしてくれていた 田中さんと言う女性の番号を探していると・・・・・ __キュイーーーー! と、タイヤが鳴る音が耳をつんざく様に響いて来た。
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