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「なぁ!いい加減機嫌直せよ・・・・・」
ため息交じりに、あたしに話しかける真治を横目に
「易々と機嫌が直る事だと思ってるの?」
訝し気に左ハンドルの運転手の顔を斜め見る。
「悪かったって!!」
どう見ても反省している姿ではない真治に
「いいから、ここで降ろしてよ!
歩いて帰るから!!」
シートベルトを外して、扉に手を当てた。
「ちょ!危ないからシートベルトしてろ!
こんな天気の日に、事故でも起きたらどうすんだ!」
車を路肩に止めて
あたしのシートベルトを引っ張るけど
「今日の式はキャンセルさせていただきます」
扉の取っ手に手を置いて
彼に背中を向けて冷たく言い放った。
「悪かったってば!
謝るから、式だけは挙げさせてくれ!
俺の会社の人達も呼んでるんだし・・・・・・」
二股かけられて結婚させられるあたしの気持ちよりも
見栄と外聞を取る真治に、心底愛想が尽きた。
「もうあたしには、真治と結婚する気持ちはなくなった。
キャンセル料もあたしが持つから
今日の式は取りやめる」
バッグから携帯を取り出し
あたし達の式のアテンドをしてくれていた
田中さんと言う女性の番号を探していると・・・・・
__キュイーーーー!
と、タイヤが鳴る音が耳をつんざく様に響いて来た。
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