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音の大きさで、自分達のすぐそばだと感じたあたし達は
目の前のフロントガラスに目を向けると
自分たち目掛けて、
白いセダンがスピードも落とさずに向かって来るのが見える。
未だにシートベルトと格闘していた真治は
咄嗟にあたしに覆い被さり
愛想が付いたはずのあたしは
思わず抱き着いてしまっている。
どう考えても逃げ場がない。
こちらは止まっている車に対して
あっちは、明らかにスピードをさらに上げて向かって来る。
____ドォーーーン!!!
身体が揺さぶられる程の衝撃を受けて
"ぶつかったな"・・・・・・・
そう感じながらも、体じゅうに痛みを受けて
あまりの痛さで、そのまま意識を手放した。
あたしに痛みが走ったと言う事は
あたしを庇う様に覆い被さっていた真治は
きっともっと衝撃をモロに受けているはず・・・・・・
遠くなる意識の中
キャンセルする気だった癖に
"あぁ・・・・キャンセル料が・・・・・・"
その言葉が頭の中に浮かんでいた事は
すぐさま自分の記憶の中から消えて行った・・・・・・
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