それぞれの時計が動く時 1-1

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目が覚めたあと、3日間はあたしは念のためと言われて ICUで過ごした。 あの時の問いかけに、答えてくれなかった松本医師。 でも、その答えはすぐ翌日に知る機会があった。 一晩経って、体の痛みに慣れて来たと言うのか どう動けば痛みを回避できるのかのコツをつかんだ私は 動かせる範囲で身体を動かして すぐ横のベッドで 頭から腕、脚、胸の部分にまで グルグルに包帯を巻かれている真治を目の当たりにした。 ベッドのすぐ横には 心音を測る装置に、あとは訳の分からない機械もつけられていて 心電図では、一定リズムで機械音が鳴っているから 取り敢えずは生きている事が窺えた。 あたしの意識が戻った翌日から 一日に一度、決められた時間だけ家族が入って来ていて 事故の情況も聞く事が出来た。 あたし達にぶつかって来たあの車に乗っていたのは あの日の朝、あたしに意味有り気なメールと 真治と二人、裸で撮った写真を送りつけた相手。 そう、真治の浮気相手・・・・・・ もしかしたら、あたしの方が浮気相手だったのかもしれないが とにかく、真治の二股相手だった。 運がいいのか、あちらの女性は足を骨折しただけで済み 止まっていた車に乗っていたあたしと真治の方が重傷だ。 この事故がきっかけで あたしは背骨が傷つき、 歩く時に少し足を引き摺らなければ歩けない体になり 真治は、あの事故の日から いつまで経っても、目を覚ます事がなかった・・・・・・・・
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