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連絡事項をプリントを配りながら喋る先生の言葉を聞きながら、僕はズボンのポケットをさぐる。
綿のハンカチが右に、家の鍵が左に。
小型で薄くて最軽量の最新ナイフがひと振りハンカチの間に、猛毒が注入された注射針が家の鍵に仕込まれている。
どれも宝物とは言えない。いや、ナイフは高かった。高いだけあって切れ味は抜群だと評判だ。使ってはいないけど。まだ。
ホームルームも終わってしまった。
とうとう宝物なんて見つからないまま、帰りの支度をして中庭へ向かう事になった。
ホームルームが終わるとすぐ、彼の姿は教室から消えていた。
だいたい同じクラスなのになぜ中庭に集合なんだ。一緒に行けばいいじゃないかと、思わなくもない。
でも僕はまだ持ち寄ると約束した宝物を持っていない。
斜め隣の席の男に「宝物ってあるか」と聞いてみた。リサーチだ。
男は一瞬きょとんとしたあと、口元に手を当て、手招きした。耳を貸せと言うらしい。
仕方なく耳を寄せてやると男は言った。
「ピーなおねぇさんの、バキューンな写真集だ! それに、自己規制万歳フィギュア」
貸した耳を切り落としたくなった。
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