はじまり、はじまり

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授業中だ 先生の話など耳に入らなかった。 そう、諸次の瞳に吸い寄せられていた。 冷え切った心が暖かくなるの? そう、疑問系、私は自分自身に問いかけた。 心は肯定した。 長らく友達などいなかったからか……。 授業が終わり、慌てて視線をそらす。 「水連?今、私を見ていなかった?」 「え、え、その……」 「素直な人、バツとして、甘い物でもおごって」 「は、はい」 諸次は嬉しそうに長い髪をまとめ、その瞳を輝かせていた。
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