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まぬけなウサギ
彼女の空気は ちょっと独特
足を伸ばして寝そべり
モデルのポーズのような姿勢で
ぼおーっとこちらを見ている
英国の貴婦人の真似をしているのだ
まぬけなウサギ
わしらがテレビを観たり
話をしている時
突然ドタッ、と音がする
振り向くと
ウサギは仰向けにひっくり返っている
でも 鼻は小刻みに動き、小さく口を動かしている
顔はうっすらと笑っている
気持ちよさそうだ
おどかすなよ
死んだわけじゃない
いつもこういう寝かたをしたがるのだ
しかし
(はい、はい、わかった、わかった)
腹は白く 綿のような 絨毯のような 買ってきたばかりの食パンをちぎったような
ボリュームがある
さわりたい
でもさわってはいけない
こいつ 何考えているかわからん部分あるからな
さわったら必要以上に驚いて、おおげさに跳び上がるに決まってる
そして後ろ足で床をバンバンさせるんだろ?
へんなウサギ
まぬけなウサギ
ひっかかれたこともある
まぬけなウサギ
やっかいなウサギ
夜はわしの膝の上に飛び乗ってくる
そして夜行性の目をらんらんさせてこう言う
「なでるざます」
まったく…
やっかいなウサギだ
わしがテレビ番組なんかに集中し始めると
前足でガリガリしてくる
「手がお留守ざますよ」
まったく…
いつかこう言ってやろうか
君は英国貴婦人なんかじゃない
君は純和風ウサギだって
まぬけなウサギ
へんなウサギ
ある日ウサギはこう言った
ちょっと粗相をしたようざます…
え?
ウサギは優雅に膝から降りて
ニコリと笑ってまた言った
きれいにしておいてね ほほほ
見るとわしの膝の上は
ちっちゃなチョコレートのようなフンが
散乱していた
まったく…
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