浅野葉月・年下との恋

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「また湯冷めするわよ。さあ」  俊はタオルを床に落とし、簡単に入ってきた。  葉月の肌と俊の肌が触れあう。  すぐさま、葉月が仰向けに横たわった俊の上に覆いかぶさり、そのくちびるを吸う。  むさぼるように吸い、開いたくちびるの中に探し当てた舌を絡めていた。  そうすると俊の体も熱くなり、その腕を葉月の背中に回す。  俊の長めの髪をすくうようにして撫で、そのまま首筋へ指でなぞっていた。  葉月の愛撫は続き、そのくちびるを俊のたくましい体へとおろしていった。  久しぶりの恋に溺れてしまいそうな夜を過ごした。  翌朝、美佐と仁は何事もなかったように起きてきて、顔を合わせた。  俊は彼らたちへまともに顔を向けられない様子。  そんなことから、夕べ、葉月となにがあったのか語っているようなのに。  しかし、美佐も大人だから何も言わない。  朝食を済ませ、美佐は先に帰った。  仁と俊はこれからどこかへ出かけるらしい。  俊ははにかみながら、小さな声で言った。 「また、ここへ来てもいいですか」  うれしかった。  夜の魔力に惑わされた男と女が朝日を浴びると現実に戻り、離れてしまうこともあった。  しかし、俊はまたここへ来てくれるという。 「いつでも来て。また会いたい」  そう言った。  それからは俊は時間が許す限り、葉月の所に入り浸った。  泊まることもしばしばで、一緒に料理をしたり、掃除までする。  ここから大学へ行くこともあった。  そうして段々と葉月のマンションは、俊たちのバンドグループのミーティングルームと化していた。  俊も葉月の部屋の鍵を持っていた。  自宅へ帰るよりも大学に近く、半同棲のようになっていた。  あんなに寂しかった、帰りたくなかった部屋にいつも明かりがともり、笑い声が聞こえた。  俊が葉月を生き返らせてくれた。  
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