友香合コン

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「いいよ。今回は少人数だし、興味があったらって思っただけ。女の子たちは別行動で、旅館に泊まるんだ」 「聞いてます」  向こうでは全く別行動になる。  初めて一緒に行動するには、ちょうどいい距離かもしれない。  そこへ美鈴が、ちょこっと顔を出す。 「ちょっと失礼します」  見ると、英会話のグループの方はもうお開きとなったらしい。 「先輩、この後、スティーブのところでDVDを見ることになりました。行きますか?」  彼は最新のDVDをたくさん送ってもらったと言っていた。  けれど、今日はやめておこう。 「ごめんね。そっちが中途半端になっちゃったけど、今日は行かない。後でスティーブには謝るから」 「じゃ、そう伝えておきますね。お邪魔しました」  美鈴が、釣りのメンバーにもにっこりと笑い、頭を下げ、他のメンバーのところへ足早に去っていった。 「かわいい子、お前の後輩か」 「はい」 「名前は?」 「教えません。私には黙秘する権利があると思いません?」 「なんだよ、ケチ」 「西宮さんには、あの時の可里奈さんがいらっしゃるんじゃありませんか」  そう、確かあのきれいな人。  西宮目当てだと言っていたし、合コンの帰りに誘われていた。  メンバーの表情が硬くなる。西宮もたちまち仏頂面になった。 「別れたよ、最近な」  思わず息を飲む。 「あ、ごめんなさい。余計なこと、言っちゃったみたい」 「人生、つらいな。ゲームをするからってほんの二、三回デートを拒んだらあっさりとフラれた」 「でも、美鈴ちゃんはだめですから」  そう念を押しておいた。  旅館の手配は、薫がすべてやってくれた。  結局、女の子はもう一人を入れて三人だけ。  でもその方が楽しめる。  お刺身の活けづくりも特別注文して、伊豆の夜を楽しもうと言っていた。  そう、薫とはその前日も電話で話し、じゃあ、明日ね、と言っていたのだ。 
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