伊豆の旅館 由美

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 今回の旅行に初顔の人が参加していた。  友香はきれいな人。  前回も一緒だった薫の友達らしい。  きっと、釣りのメンバー中の誰かに気があるのだろう。  伊豆下田駅にはチャーターしてある船の人が迎えにきていた。  小野たちの荷物も全部乗せて、もうそのまま海へ出るらしい。  彼らは後で旅館へチェックインするのだ。  もう由美たちはそこから別行動になる。  旅館からの迎えのバスを待つ。  一度荷物を置いてから、観光しようと思っていた。 「じゃ、またね。たくさん釣れるといいね」  そんな会話を周りがしていた。  つかの間だが、離れることが寂しいのか。  由美たちもそんなこともあった。 「由美ちゃんたちはどうするの」 「黒船の観覧船とか、水族館なんかも見るつもり。海の見えるところで三人でお茶をしてもいいしね」 「釣りの状態で何時になるかわからないけど、夕方、五時くらいには戻ると思う」 「うん、五時には戻るようにする。夕食、楽しみだな」  傍目から見れば、由美と譲は仲がよさそうに見える。  でも、二人の仲は冷めている。  なんだか、長く連れ添った倦怠期の夫婦のよう。  旅館からのバスがついた。  他にも数名客がいた。同じ電車だったらしい。  小さな子供を二人連れた家族とカップル。 「じゃ、頑張ってね」 「うん、連絡する」  由美たちはバスに乗り込み、見送ってくれる釣りのメンバーたちに手を振った。
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