第1章

2/2
前へ
/2ページ
次へ
どうしてだろう。 以前から今日だけは早く帰れるように仕事を組んできたのに。 急なトラブルから残業。 どれだけ急いで帰っても、恐らくは間に合わないだろう。 明かりのついてない我が家を眺め、足音を殺すように台所へ。 ラップされたいつもより豪華な一人前の夕御飯と、一枚の紙。 ミミズが這ったような文字だが、僕には読める。 『ぱぱのうそつき』 今日、僕は父親であることを失った。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加