第1章
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どうしてだろう。 以前から今日だけは早く帰れるように仕事を組んできたのに。 急なトラブルから残業。 どれだけ急いで帰っても、恐らくは間に合わないだろう。 明かりのついてない我が家を眺め、足音を殺すように台所へ。 ラップされたいつもより豪華な一人前の夕御飯と、一枚の紙。 ミミズが這ったような文字だが、僕には読める。 『ぱぱのうそつき』 今日、僕は父親であることを失った。
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