カメになりたい

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行かないでくれという心の声はきっと毎回虚しく何の音も鳴らさない。 鳴るのはドアが閉まる音と癖のある車掌の声だけ。僕の声はひとかけらもない。 毎日毎日そりゃ進展もないよって具合にノーリアクションな日々を重ねる高二の僕。 今は受験など現実味のある話はしない事にする。 だって今しているのは彼女と僕の話なのだ。うん。 僕はもう早めに諦めてしまった。だって長身でかっこいい彼氏がいるかもしれない。 いやきっといるに違いない。 対して僕は冴えないただのガキ。こうして俯いているだけの。 はあ……とまだ見ぬライバルに既に負けた気になってため息をつく。 あーダメだ。勝ち目なんかない。ダメだ。 そもそも勝ちって何だよとグルグルし始めるところがもうダメだった。
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