泡に沁む

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 ――喧嘩した。 ふん、ってした。 子供みたいに、つーん、ってそっぽ向いて、見えてないだろうけれど口、いー、ってした。 彼は後ろで罰が悪そうに小声で、しどろもどろ、と言い訳? してきて。 そんで――。  ちょっと出てくる。  とか言って、がちゃん、ってアパート出て行っちゃった。 そんでも私はベランダの開けた窓の縁に座ったままでいて、まだ、冷やっ、とする外とにらめっこ。  ……むかつく! ちゃんと言ったもん!  と、ベランダの隅に置いてるウッドデコプランターの横に置いたままにしていたそれを発見。  ピンクのクマのシャボン玉の容器。  この前、彼が買ってきた物。 帽子型の蓋を開けてクマのお腹をぶに、っと押すと輪っかが出てくるやつ。  ……子供扱い。やっぱむかつく!  と、私はクマの帽子をはぎ取って、ぶに、っと押した。
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