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「なんだ、物音?」
吉永さんの部屋から何か、争うような音がした。耳を澄ますと、吉永さん以外の別の誰かの声がするような。
「やばくないか」
今考えてみると、あの手紙、びっしりと文字が書いてあった。もしかしてストーカーの類では。
「もしかして家に侵入されている?」
違ったらどうする。俺が変質者扱いだぞ。でも。
「入り口で中の音を聞いてみよう」
もしもの時は土下座でもして謝ればいい。だけど万が一危険な目にあっていたら。
音を立てないように自分の部屋を出ると吉永さんの部屋の前に立つ。ドアに耳を当て、中の音に集中した。
「やっぱり、おかしい」
俺はとっさにドアノブへと手をかけた。
「あ……開いてる」
ゆっくりとドアを開けると。中から声が聞こえてきた。
「んん―っ」
明らかに口を塞がれているくぐもった吉永さんの声。
「静かにしてよ」
そして他の誰かの……こ……え?
「あれ?」
何かがおかしい。声が。
俺は中を確かめるために、ゆっくりと、部屋に入る。短い廊下を進み、拓けた部屋にたどり着いた。そこには。
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