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「馬鹿馬鹿しい……?」 大文字の言葉を繰り返しつつ、心のどこかで“やっぱりな”と思う自分がいた。 昔ながらのナポリタンを食べていた古東は大文字の問いに、鼻から麺が噴き出しそうになった。医学部部長発案の制度を、よりによって「馬鹿馬鹿しい」とは。 「ポイント制度で得をしているのは誰だ? 病院側だけではないか」 「え、でも僕はもうすぐ2000ポイント貯まるからディズニ──」 「外来診療だけなら、この制度はいいかもしれない」古東の言葉を遮って大文字は続けた。「だが入院期間の短縮、これに関しては早ければ早いほうがいいと、一概には言えないだろう」 「いや、待ってくれ大文字。入院期間が短くなれば、患者だって嬉しいだろう、早く家に帰りたいとみんな願っているんだからな。それにベッドが空けば新しい患者の受け入れも──」 「それが病院側の都合だと言っているんだ」 大文字はぴしゃりと言った。
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